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ダメ太郎スマイル、深海日記

クワインを読むんだ

オントロジカル・ジェノサイド

この世は一変した。それというのも、かれらーー机上の殺人者どもーーが特定の哲学者たちを存在論的に殺害したからだ。その哲学者たちが書いてきた論文は、ある物体が運動、たとえば文字を書いたり、キーをタイプしたりした結果生じた、ただの紙束になったのだ。声主でなくなった物体の声をだれが聞くのだろうか。わたしたちは、ある思想が物理的な過程によってだけ生じてきても、信じないようにできている。風の音を魔王の声と信じていいのは男の子だけだ。
さて、無惨にも殺戮された哲学者たちの書いてきた論文が印刷所の雑音や、画面上のノイズに還元されたのならば、将に来たらんとする論文たち(ともはや呼ぶべきでない産業廃棄物)は、いったいどこへ行くのか。無論、投稿されるべきジャーナルにきちんと送信されてきている。まちがいなくホラーだ。この現象をエディターたちは理解できずに苦しんでいる。主なき声を聞きつづけるこのわたしも、かれらに理解されていない。しかしながら、どのようにしてかれらが存在のリストから抹消されてしまったのか解明するのがわたしの使命だと確信している。